プロフィール
HN:
赤澤 舞
性別:
女性
職業:
飲食店店員
趣味:
お菓子作ったりピアノ弾いたり本読んだり絵描いたり
自己紹介:
東京・神奈川・埼玉あたりでちょこまか歌 を歌っております。
一応声種はソプラノらしいですが、自分は あんまりこだわってません(笑) 要望があればメッツォもアルトもやりま すヽ(^。^)丿
音楽とお酒と猫を愛してます(*´▽`*) 美味しいものには目がありません。
レトロゲームや特撮も好物です。
ヴァイオリンは好きだけど弾けませんorz
一応声種はソプラノらしいですが、自分は あんまりこだわってません(笑) 要望があればメッツォもアルトもやりま すヽ(^。^)丿
音楽とお酒と猫を愛してます(*´▽`*) 美味しいものには目がありません。
レトロゲームや特撮も好物です。
ヴァイオリンは好きだけど弾けませんorz
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2019/08/23 (Fri)
こんにちは。
最近このブログには聖書の研究ばっかり書いておりますので、たまには他の話題も書こうかなと思います。
実は来年の3月に、オペラ『椿姫』でフローラの役をやらせて頂けることになりました。
『椿姫』はオペラでも一番と言って良いほど有名な作品にもかかわらず、私は合唱はやったことがあるだけで実は深くまで調べたことがありませんでした。なので、せっかくですのでいつもの趣味研究のノリで色々調べてみようと思った次第です。
フローラは主人公ヴィオレッタとおなじ《高級娼婦》です。つまり、劇中でヴィオレッタと最も近い目線で物事を見ていることになります。
もうひとりのヴィオレッタ、あるいはヴィオレッタが選ばなかった道の先にいるヴィオレッタという見方も出来るのでは?どこかでそのような記事を書いていた方がいらっしゃったように思うのですが、この言葉がとても思い出されました。
そうなりますと、今まで記号のように覚えていた登場人物たちの人となりや状況をよく知らず「なんかパーティーによく来てる人たち」として認識している訳にはいかなくなりました。
合唱団演じる「パーティーの客」ならまだしも、パーティーの主催側であるフローラが招く人たちの人間関係や経済状況を知らない筈はないからです。
彼女たちはどんな思いで生き、死んでいくことを義務づけられて描かれたのでしょうか。
それを自分でも整理したくて、この記事を書くことにいたしました。
前置きが長くなりました。早速はじめたいと思います。
まずオペラと原作両方の観点から調べるにあたって、原作の作者について軽く触れます。
小説『椿姫』はアレクサンドル・デュマ・フィス(1824~95)が24歳の若さで書いたデビュー作です。
フィス(息子)と付けられているとおり、有名なお父さんがおります。アレクサンドル・デュマ・ペール(父)は『岩窟王』『三銃士』などを記した大作家です。お父さん自身もなかなかの苦労人でした。彼のお父さんのトマ=アレクサンドル・デュマ、つまりデュマ・フィスからするとお祖父ちゃんは、黒人と白人の混血だったので色々差別を受けたようです。お父さんは将軍だったのですが、ナポリで2年ほど捕虜になった際食事にヒ素を入れられた為に心身衰弱し、亡くなりました。遺族には終身年金が下りなかったので幼いデュマは貧しい生活を余儀なくされ、高等教育も受けられなかったそうです。劇作家として成功したデュマ・ペールの作品には、父親のデュマ将軍をモデルにしたものも多いといいます。自らが受けた人種差別に反発して、社会改革や革命にも参加しました。
デュマ・フィスは、そんな父とベルギー生まれの縫製工、カトリーヌとの間に私生児として生まれました。
のちに認知され高等教育を受けることはできましたが、暗い少年時代を送り、若い頃は父親の金で遊び歩いていたそうです。そんなときに出会ったのが、アルフォンジーヌ・プレシ…俗にマリー・デュプレシと呼ばれた娼婦でした。マリーはノルマンディーの行商人の娘として生まれ恵まれない少女時代を過ごしましたが、1845年頃のパリで裏社交界の花形にまで上り詰めた女性です。気品と教養と知性を兼ね備え、フランツ・リストなどを始めとする知識人や上流階級の男性と関係を持っていたといいます。出会った当時20歳だったデュマ・フィスはマリーと恋に落ち、彼女の情人のひとりになりました。しかしマリーは肺結核に侵され、23歳の若さでこの世を去ってしまいます。
彼女をモデルに書いたのが、小説『椿姫』というわけです。
詳しくは音楽之友社のリブレットに色々書いてあります。(爆)
今回主に調べたいのはこの小説を戯曲にして、更にオペラにした、ヴェルディ作曲の『椿姫』です。
ですので、原作小説はあくまで資料として使うに留めます。
原作者に関しては、『小説の主人公マルグリット・ゴーチェとアルマン・デュヴァールのモデルが、原作者本人と彼の亡くなった恋人マリー・デュプレシである』ということが分かれば十分です。
さて、原作とオペラリブレットを目の前に置きまして、とりあえずリブレットを開いてみましょう。
あらすじのあとに、便利な登場人物の一覧があります。
ヴィオレッタ・ヴァレリー、という名前が一番上に書いてあります。このひとがオペラのヒロイン。小説のマルグリットにあたる人物です。
ヴィオレッタはイタリア語で『すみれ』です。かわいい、素朴なお花ですね。
ヴァレリーという名前は、ヨーロッパ系の名前でローマのウァレリウス氏族(Valerius)に由来するお名前だそうです。wikiでこの名前の有名な人を見ますと、フランス人も居るんですけど、ロシア方面の方が多いような気がします。
すみれの花言葉は「謙虚」「誠実」です。
(紫のスミレの花言葉は「貞節」「愛」、白いスミレの花言葉は「あどけない恋」「無邪気な恋」。
黄色いスミレの花言葉は「田園の幸福」「つつましい喜び」。)
一方原作の「マルグリット」はマーガレットのことで、やはり素朴な花の代表格です。 花言葉は「真実の愛」「信頼」。
なのに、あだ名は椿姫。
これは原作を見れば分かりますけれども、彼女が公共の場に現れるときに必ず椿の花束を持っていたからです。一ヶ月のうち25日は白い椿で、5日は赤い椿と決まっておりました。なんで椿が赤かったり白かったりしたのかというと、月に5日だけの赤い椿の日は生理中だから娼婦のお仕事できません、という合図だそうです。
当時椿の花はヨーロッパに伝わったばかりでかなり高級なお花だったようです。そんな花を毎日買っていたのですから、彼女の散財ぶりが想像できるというものです。
素朴な花の名前を持ち元来はその名の如く素朴な少女だった彼女が、娼婦という商売のために本来の気質とかけ離れた生活を送っていたという表現でしょうか。
原作内で、田舎にてアルマンと暮らすマルグリットの様子にこんなシーンがあります。
「かつては花束に一家族が楽に暮らせる以上の金を使ったことのあるこの娼婦も、今では時々芝生にすわって、自分と同じ名のささやかな草花に一時間もじっと見とれているようなことがありました。」
モデルとなったマリーも、元々は田舎で生まれ育った娘です。元は無邪気で素朴な少女だったのでしょう。
では、フローラはどうでしょうか。
オペラリブレットの登場人物、ヴィオレッタの次の段にフローラ・ベルヴォアという名前があります。今回私がお勉強しようとしている役です。
フローラは明確なモデルがいません。原作にも、それっぽい立ち位置の人は何人かいますが、明らかに対応している役は無いです。
まずはお名前に関して少し。
『フローラ』は、ローマ神話に出てくる花の女神の名前です。元々はギリシャのニンフで、クロリスという名前でした。(ゼウスの血をひくアムピーオーンの娘という説もあり)
あるとき西風の神ゼピュロスがクロリスに惹かれ、彼女を拐ってイタリアへ連れてきます。そして主神にクロリスを神へ昇格するよう願い出てお許しを貰いました。こうしてクロリスは花と春と豊穣を司る女神フローラになったというわけです。
ローマ神話において、フローラは戦神マルスの誕生を助けた逸話で有名です。主神ユピテルが独力で戦女神ミネルヴァを産んだため正妻としての面目を失ったユーノーに請われ、フローラは女性が触れるだけで身籠れる花を授けます。それによって生まれたのが戦神マルスというわけです。
格上の身分の男性に魅入られて社交界に連れてこられ高級娼婦になったマリーと、境遇を重ねてしまいますな。
名字のベルヴォア【Bervoix】に関してですが、こちらはちょっと正解が分からなかったので、調べたものと妄想とメモっておきます(爆)
はじめ片仮名で検索したら Belvoir という綴りの地名が出てきたので、そちらで調べましたら、フランスのコミューンとイギリスの村でこの名前の地名が出てきました。この綴りですと意味は「綺麗に見える」になるので、自分の美しさを売る商売人にはピッタリの名前かと思ったのです。しかし実際の綴りは Bervoix ですので、意味はまるきり違います。
「voix」はフランス語で「声」です。一方「ber」は、フランス語どころか他の国の言葉でも明確な意味が出てきませんでした。出てきても電子用語とかベルリンの略称とか、あとはインドネシア語の節頭辞とか。
関連があるかは分かりませんが、よくヨーロッパの男性名や名字で見られる「ベルナルド」、フランスですと「ベルナール」の「ベル」は古語ドイツ語の「熊(berin)」に由来するそうです。
(ベルナールはber(n)-hard で「強い熊」。)
ドイツのベルリンとか、ベルンも『熊』が語源です。
熊は古代では「大きくて強い」ゆえに神聖なものと見られていました。エジプトでワニやライオンなどが崇拝されていたのと同じ理由ですね。
東ロシアのニヴフ族は熊を先祖と神両方の顕現と考えていて、大がかりな「熊祭り」を行うそうです。
どんな祭りかというと、まず子熊を捕まえて大切に育て、大きくなったら熊を喜ばせるための祝宴を催します。それから儀式の衣装を着せて、凍った川に立てた柱に鎖で繋いで若者たちが弓で射り、最後に権利のある人(司祭みたいな?)がとどめをさします。熊の亡骸は解体されて、何週間もかけて皆で食べます。すると熊の魂は神に戻り、自分達の繁栄が約束される…。こんなお祭りです。
非常に古代の色が濃い祭りですね。
またフィンランド神話には、オツォ(Otso)という 熊の精霊(多くの呼び名のうちの1つ)がいます。フィン族もロシアのように熊を屠るお祭りがあります。
アイヌにも似たお祭りがありますね。
熊の意味を持ったヨーロッパ人の名前には他にも、古代英語【beorn】の含まれた男性名 Osborn や、北欧の男子名 Björn(ビョルン)などがあります。
…盛大に話が逸れてしまいました。
ともかく、この意味で考えますと【bervoix】は「熊の声」?
もしかしたら、源氏名で後から付けた名前かも。
クルチザンヌたちの中には元女優や歌手、あるいは兼業していた人も多かったようですので、もしフローラが元歌手だったら………色々妄想が捗りますなあ!
とりあえず今回はここまで。
最近このブログには聖書の研究ばっかり書いておりますので、たまには他の話題も書こうかなと思います。
実は来年の3月に、オペラ『椿姫』でフローラの役をやらせて頂けることになりました。
『椿姫』はオペラでも一番と言って良いほど有名な作品にもかかわらず、私は合唱はやったことがあるだけで実は深くまで調べたことがありませんでした。なので、せっかくですのでいつもの趣味研究のノリで色々調べてみようと思った次第です。
フローラは主人公ヴィオレッタとおなじ《高級娼婦》です。つまり、劇中でヴィオレッタと最も近い目線で物事を見ていることになります。
もうひとりのヴィオレッタ、あるいはヴィオレッタが選ばなかった道の先にいるヴィオレッタという見方も出来るのでは?どこかでそのような記事を書いていた方がいらっしゃったように思うのですが、この言葉がとても思い出されました。
そうなりますと、今まで記号のように覚えていた登場人物たちの人となりや状況をよく知らず「なんかパーティーによく来てる人たち」として認識している訳にはいかなくなりました。
合唱団演じる「パーティーの客」ならまだしも、パーティーの主催側であるフローラが招く人たちの人間関係や経済状況を知らない筈はないからです。
彼女たちはどんな思いで生き、死んでいくことを義務づけられて描かれたのでしょうか。
それを自分でも整理したくて、この記事を書くことにいたしました。
前置きが長くなりました。早速はじめたいと思います。
まずオペラと原作両方の観点から調べるにあたって、原作の作者について軽く触れます。
小説『椿姫』はアレクサンドル・デュマ・フィス(1824~95)が24歳の若さで書いたデビュー作です。
フィス(息子)と付けられているとおり、有名なお父さんがおります。アレクサンドル・デュマ・ペール(父)は『岩窟王』『三銃士』などを記した大作家です。お父さん自身もなかなかの苦労人でした。彼のお父さんのトマ=アレクサンドル・デュマ、つまりデュマ・フィスからするとお祖父ちゃんは、黒人と白人の混血だったので色々差別を受けたようです。お父さんは将軍だったのですが、ナポリで2年ほど捕虜になった際食事にヒ素を入れられた為に心身衰弱し、亡くなりました。遺族には終身年金が下りなかったので幼いデュマは貧しい生活を余儀なくされ、高等教育も受けられなかったそうです。劇作家として成功したデュマ・ペールの作品には、父親のデュマ将軍をモデルにしたものも多いといいます。自らが受けた人種差別に反発して、社会改革や革命にも参加しました。
デュマ・フィスは、そんな父とベルギー生まれの縫製工、カトリーヌとの間に私生児として生まれました。
のちに認知され高等教育を受けることはできましたが、暗い少年時代を送り、若い頃は父親の金で遊び歩いていたそうです。そんなときに出会ったのが、アルフォンジーヌ・プレシ…俗にマリー・デュプレシと呼ばれた娼婦でした。マリーはノルマンディーの行商人の娘として生まれ恵まれない少女時代を過ごしましたが、1845年頃のパリで裏社交界の花形にまで上り詰めた女性です。気品と教養と知性を兼ね備え、フランツ・リストなどを始めとする知識人や上流階級の男性と関係を持っていたといいます。出会った当時20歳だったデュマ・フィスはマリーと恋に落ち、彼女の情人のひとりになりました。しかしマリーは肺結核に侵され、23歳の若さでこの世を去ってしまいます。
彼女をモデルに書いたのが、小説『椿姫』というわけです。
詳しくは音楽之友社のリブレットに色々書いてあります。(爆)
今回主に調べたいのはこの小説を戯曲にして、更にオペラにした、ヴェルディ作曲の『椿姫』です。
ですので、原作小説はあくまで資料として使うに留めます。
原作者に関しては、『小説の主人公マルグリット・ゴーチェとアルマン・デュヴァールのモデルが、原作者本人と彼の亡くなった恋人マリー・デュプレシである』ということが分かれば十分です。
さて、原作とオペラリブレットを目の前に置きまして、とりあえずリブレットを開いてみましょう。
あらすじのあとに、便利な登場人物の一覧があります。
ヴィオレッタ・ヴァレリー、という名前が一番上に書いてあります。このひとがオペラのヒロイン。小説のマルグリットにあたる人物です。
ヴィオレッタはイタリア語で『すみれ』です。かわいい、素朴なお花ですね。
ヴァレリーという名前は、ヨーロッパ系の名前でローマのウァレリウス氏族(Valerius)に由来するお名前だそうです。wikiでこの名前の有名な人を見ますと、フランス人も居るんですけど、ロシア方面の方が多いような気がします。
すみれの花言葉は「謙虚」「誠実」です。
(紫のスミレの花言葉は「貞節」「愛」、白いスミレの花言葉は「あどけない恋」「無邪気な恋」。
黄色いスミレの花言葉は「田園の幸福」「つつましい喜び」。)
一方原作の「マルグリット」はマーガレットのことで、やはり素朴な花の代表格です。 花言葉は「真実の愛」「信頼」。
なのに、あだ名は椿姫。
これは原作を見れば分かりますけれども、彼女が公共の場に現れるときに必ず椿の花束を持っていたからです。一ヶ月のうち25日は白い椿で、5日は赤い椿と決まっておりました。なんで椿が赤かったり白かったりしたのかというと、月に5日だけの赤い椿の日は生理中だから娼婦のお仕事できません、という合図だそうです。
当時椿の花はヨーロッパに伝わったばかりでかなり高級なお花だったようです。そんな花を毎日買っていたのですから、彼女の散財ぶりが想像できるというものです。
素朴な花の名前を持ち元来はその名の如く素朴な少女だった彼女が、娼婦という商売のために本来の気質とかけ離れた生活を送っていたという表現でしょうか。
原作内で、田舎にてアルマンと暮らすマルグリットの様子にこんなシーンがあります。
「かつては花束に一家族が楽に暮らせる以上の金を使ったことのあるこの娼婦も、今では時々芝生にすわって、自分と同じ名のささやかな草花に一時間もじっと見とれているようなことがありました。」
モデルとなったマリーも、元々は田舎で生まれ育った娘です。元は無邪気で素朴な少女だったのでしょう。
では、フローラはどうでしょうか。
オペラリブレットの登場人物、ヴィオレッタの次の段にフローラ・ベルヴォアという名前があります。今回私がお勉強しようとしている役です。
フローラは明確なモデルがいません。原作にも、それっぽい立ち位置の人は何人かいますが、明らかに対応している役は無いです。
まずはお名前に関して少し。
『フローラ』は、ローマ神話に出てくる花の女神の名前です。元々はギリシャのニンフで、クロリスという名前でした。(ゼウスの血をひくアムピーオーンの娘という説もあり)
あるとき西風の神ゼピュロスがクロリスに惹かれ、彼女を拐ってイタリアへ連れてきます。そして主神にクロリスを神へ昇格するよう願い出てお許しを貰いました。こうしてクロリスは花と春と豊穣を司る女神フローラになったというわけです。
ローマ神話において、フローラは戦神マルスの誕生を助けた逸話で有名です。主神ユピテルが独力で戦女神ミネルヴァを産んだため正妻としての面目を失ったユーノーに請われ、フローラは女性が触れるだけで身籠れる花を授けます。それによって生まれたのが戦神マルスというわけです。
格上の身分の男性に魅入られて社交界に連れてこられ高級娼婦になったマリーと、境遇を重ねてしまいますな。
名字のベルヴォア【Bervoix】に関してですが、こちらはちょっと正解が分からなかったので、調べたものと妄想とメモっておきます(爆)
はじめ片仮名で検索したら Belvoir という綴りの地名が出てきたので、そちらで調べましたら、フランスのコミューンとイギリスの村でこの名前の地名が出てきました。この綴りですと意味は「綺麗に見える」になるので、自分の美しさを売る商売人にはピッタリの名前かと思ったのです。しかし実際の綴りは Bervoix ですので、意味はまるきり違います。
「voix」はフランス語で「声」です。一方「ber」は、フランス語どころか他の国の言葉でも明確な意味が出てきませんでした。出てきても電子用語とかベルリンの略称とか、あとはインドネシア語の節頭辞とか。
関連があるかは分かりませんが、よくヨーロッパの男性名や名字で見られる「ベルナルド」、フランスですと「ベルナール」の「ベル」は古語ドイツ語の「熊(berin)」に由来するそうです。
(ベルナールはber(n)-hard で「強い熊」。)
ドイツのベルリンとか、ベルンも『熊』が語源です。
熊は古代では「大きくて強い」ゆえに神聖なものと見られていました。エジプトでワニやライオンなどが崇拝されていたのと同じ理由ですね。
東ロシアのニヴフ族は熊を先祖と神両方の顕現と考えていて、大がかりな「熊祭り」を行うそうです。
どんな祭りかというと、まず子熊を捕まえて大切に育て、大きくなったら熊を喜ばせるための祝宴を催します。それから儀式の衣装を着せて、凍った川に立てた柱に鎖で繋いで若者たちが弓で射り、最後に権利のある人(司祭みたいな?)がとどめをさします。熊の亡骸は解体されて、何週間もかけて皆で食べます。すると熊の魂は神に戻り、自分達の繁栄が約束される…。こんなお祭りです。
非常に古代の色が濃い祭りですね。
またフィンランド神話には、オツォ(Otso)という 熊の精霊(多くの呼び名のうちの1つ)がいます。フィン族もロシアのように熊を屠るお祭りがあります。
アイヌにも似たお祭りがありますね。
熊の意味を持ったヨーロッパ人の名前には他にも、古代英語【beorn】の含まれた男性名 Osborn や、北欧の男子名 Björn(ビョルン)などがあります。
…盛大に話が逸れてしまいました。
ともかく、この意味で考えますと【bervoix】は「熊の声」?
もしかしたら、源氏名で後から付けた名前かも。
クルチザンヌたちの中には元女優や歌手、あるいは兼業していた人も多かったようですので、もしフローラが元歌手だったら………色々妄想が捗りますなあ!
とりあえず今回はここまで。
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